遺言が法的効力を持つためには、法律で定められた一定の方式に従って行われなければなりません。例えば、ビデオテープや口頭で行う遺言には法的な効力はなく、必ず書面によらなければなりません。口頭でのみ遺言が告げられた場合は法的効力はなく、結局、その遺言に従うかどうかは、相続人の自由ということになってしまいます。

子供がいない夫婦で夫が先に亡くなった場合、妻は「財産はすべて自分が相続する」と考えるのが普通だと思います。しかし、法律では、子供のいない夫婦のどちらかが亡くなった場合、配偶者のほかに親や兄弟姉妹が相続人になるとされています。  
この場合の法定相続分は、亡くなった人の親が健在なら、配偶者が3分の2で親が3分の1となり、両親とも亡くなっていて兄弟姉妹がいるときは、配偶者が4分の3で兄弟姉妹が4分の1となります。兄弟姉妹が亡くなっていれば、その分は甥や姪が代わりに相続することになります(代襲相続)。  
先の場合で、妻がいくら「財産はすべて自分が相続する」と考えていても、親又は兄弟姉妹がいる場合、この権利は法律で決まっていることなので、主張されるとどうにもなりません。もちろん、こうしたケースでも、法定相続人全員が合意すれば法定相続分どおりに分ける必要がなく、今後の妻の生活を思って、気持ちよく相続放棄してくれる例も多いのは確かですが、一人でも権利を主張する人がいると、話し合いはまとまらない結果となり、全員の合意を得るのは不可能となってしまいます。  
このようなケースでは、夫が、「妻に全財産を相続させる。」という遺言を残しておけば、問題を避けることも出来ます。遺言では本人の意思で自由に財産の分け方を決めることが出来ますが、法定相続人には通常、最低限の財産を受け取る権利が認められていまして、これを「遺留分」と言います。しかし、兄弟姉妹や甥姪が法定相続人になる場合は、この遺留分がありません。このため、先の遺言書さえあれば兄弟姉妹や甥姪は権利を主張することが出来なくなるわけです。  
このように、子供のいない夫婦の場合では、特に遺言が必要ということが分かると思います。また、法定相続人以外の人に財産を譲りたいと考えている方にも遺言は有効といえます。

  1. 遺言の種類には、大きく分けて、通常の方式である普通方式と、死が目前に迫っている場合や伝染病で隔離されている場合等、普通方式による余裕がない場合に用いられる特別方式の2つがあります。  
    特別方式は、かなり特殊な場合に行われるものになるので省略させていただき、普通方式について説明していきます。
  2. 1. 自筆証書遺言

    自筆証書遺言は、自分一人でいつでも作れるもっとも簡単な方法です。内容も存在も、誰にも知らせる必要がありません。必要なものは紙とペンと印鑑だけで、費用をかけたくない人、すぐに作成したい人向きの方法です。
    ただし、不備があって法的効力が認められない危険(要件不備の危険)や、紛失・偽造の危険があります。また、死後、遺言書を発見してもらえない危険もありますので、作成・保管には細心の注意が必要です。

  3. 2. 公正証書遺言

    口頭で内容を説明して、公証人に遺言を作成・保管してもらうのが、公正証書遺言です。最も確実な手段といえます。
    財産が多い場合、相続人が多い場合、相続人の争いが予想される場合(特定の相続人に偏った相続をさせたい場合等)は、確実に遺言が執行されるためにも、この方法が良いと思われます。また、読み書きが自分でできない場合は、自筆証書遺言が出来ませんので、この方法で作成することが出来ます。 ただし、この方法だと、公証人や証人に遺言の内容を知られてしまう欠点はあります。

  4. 3. 秘密証書遺言

    秘密証書遺言は、自分で作って封印した遺言を、公証人に保管してもらう方式です。自筆証書遺言と同様、自分で作るので、要件不備の危険はありますが、公証人が保管するので、紛失や偽造の危険はありません。ワープロでも作成できるというメリットもあります。
    しかし、費用や手間が公正証書遺言と同じという理由もあって、現在はそれほど利用されていないようです。

  プラス面 マイナス面
自筆証書遺言 ・いつでも、すぐ一人で作れる
・費用がかからない
・内容も存在も知られないで済む
・ワープロ等ではダメ
・紛失・偽造変造の危険あり
・執行に家庭裁判所の検認必要
公正証書遺言 ・安心・確実
・紛失・偽造変造の危険なし
・家庭裁判所の検認不要
・公証人・証人2人という手間と費用
・公証人と証人2人に内容が知られる
秘密証書遺言 ・内容は誰にも知られない
・紛失、偽造変造の危険なし
・代筆、ワープロ打ち、点字打ちでも可能
・要件不備の危険あり
・公証人、証人2人という手間と費用
・公証人と証人2人に存在だけ知られる

サービス内容 報酬額
自筆証書遺言作成サポート 50,000円~
公正証書遺言作成サポート 80,000円~
秘密証書遺言作成サポート 80,000円~
※内容等によって、上記金額に上乗せになる場合があります。
※遺言執行者の受任も行っています。
  • 行政書士 柿崎崇事務所|フェイスブックへ
  • 行政書士 柿崎崇事務所|アクセス情報・地図へ
  • 行政書士 柿崎崇事務所|お問い合わせはお気軽にどうぞ!